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第56巻 第4号

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症例報告
傍腫瘍症候群として重症筋無力症を発症した進行卵管癌に対して術前化学療法・腫瘍減量術が奏功した1例
篠原 佳子1), 楯 真一1), 松岡 歩1), 錦見 恭子1), 碓井 宏和1), 三橋 暁1), 生水 真紀夫1), 長井 友莉恵2), 宇津 欣和2)
1)千葉大学医学部付属病院婦人科
2)成田赤十字病院内科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(4):487-492, 2019

 重症筋無力症(myasthenia gravis;MG)が傍腫瘍神経症候群(paraneoplastic neurological syndrome;PNS)として発症することがある.MGによる呼吸障害が腫瘍に対する治療により軽快した卵管癌症例を経験したので報告する.
 患者は65歳女性.呼吸困難が出現・増悪し,呼吸不全から意識低下を来して前医内科へ救急搬入され,人工呼吸器管理が行われた.テンシロンで換気が改善したためMGが疑われた.抗AchR抗体,抗Musk抗体は陰性であった.CTで腹膜播種の所見を認め,腹腔鏡下生検を行い高異型度漿液性癌と診断した.免疫グロブリン大量療法は奏功せず,人工呼吸器管理下にNeoadjuvant chemotherapy(NAC)としてweekly TC療法を開始し,3サイクル目のCTで腫瘍の縮小が確認され,同時期に非侵襲的陽圧換気療法を離脱した.計7サイクルNACを施行後,当科に転院しinterval debulking surgery(IDS)を施行し完全切除となった.術後病理では右卵管采原発高異型度漿液性癌ypT3cN0M1の診断であった.術後,現在(19か月)までMGおよび卵管癌の再発は認めていない.
 本例は免疫学的治療ではなくNAC/IDSにより神経症状の改善を認めたためPNSが疑われた.PNSが疑われる場合は全身状態不良な症例においてもNAC/IDSが有効な場合があることが示唆された.

Key words:fallopian tube cancer, myasthenia gravis, paraneoplastic neurological syndrome
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