書誌情報

第56巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
子宮内膜症術後に腹膜に発生した明細胞癌の1例
野末 彰子, 藤枝 薫, 西出 健
筑波メディカルセンター病院婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(4):531-535, 2019

 子宮内膜症の悪性化は0.5~1.0%といわれている.悪性化の部位としては卵巣が圧倒的に多いが,文献的には卵巣外の悪性化も報告されている.今回我々は卵巣子宮内膜症にて片側付属器切除後に腹膜に明細胞癌を発生した症例を経験した.
 症例は37歳0経妊0経産,32歳時に10 cm大の左卵巣内膜症性囊胞破裂のため当院にて緊急開腹手術を施行した.左卵巣囊胞は腸管や腹膜に広範囲に癒着しており,左付属器切除を施行した.右卵巣にも2 cm大の内膜症性囊胞があり,核出して右卵巣は温存した.術直後から7か月間ジエノゲストを使用した.ジエノゲスト休薬後半年で右卵巣に子宮内膜症が再発し,強い月経痛が出現したためLEP(low dose estrogen progestin)を1年10か月使用した.副作用のため本人希望でLEPを休薬した後,1年1か月時の検診でダグラス窩に6 cm大の腫瘍を確認した.画像所見から悪性腫瘍を強く疑い,腫瘍切除,子宮,右付属器切除,骨盤内リンパ節生検を行った.腫瘍はダグラス窩腹膜や直腸漿膜に高度に癒着しており,術後病理診断で明細胞癌と診断,左閉鎖節に転移を確認した.右卵巣は子宮内膜症病変のみで悪性所見はなかった.以上より腹膜原発癌と診断した.その後数種類の化学療法を施行したがいずれも奏功せず術後1年3か月で癌死した.

Key words:clear cell carcinoma, peritoneum, endometriosis
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会