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第56巻 第4号

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症例報告
自然発生した臍帯血腫の一例
照屋 浩実1), 藤木 豊1), 施 惠子1), 加藤 敬1), 兒玉 理1), 人見 義郎1), 中村 佳子1), 山田 直樹1), 大谷 明夫2)
1)水戸済生会総合病院産婦人科
2)水戸済生会総合病院病理診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(4):557-561, 2019

 臍帯血腫の自然発生は稀であるが,子宮内胎児死亡や死産の原因となる.今回我々は胎児機能不全のため緊急帝王切開術を施行したところ,臍帯血腫を認めた症例を経験したので報告する.症例は31歳,1妊0産婦.前医にて妊娠初期より管理されており,妊娠20週6日より切迫流早産のため入院管理されていた.妊娠33週0日,胎動減少の自覚あり,また日中の定時胎児心拍数モニタリングにて基線細変動の減少を認めた.夕方の再検では遅発一過性徐脈の出現があったため,胎児機能不全として同日当院へ緊急母体搬送となった.当院到着時の経腹超音波検査では胎児・胎盤に明らかな異常は指摘できないものの,羊水腔内に内部にカラーフローを伴わない円形の5 cm大の血腫様エコー像を認めた.超音波検査中にも遷延する胎児徐脈を認めたため緊急帝王切開術を行った.術中所見として血性羊水や胎盤後血腫は認めなかった.胎盤には明らかな異常はなく,臍帯内に4×5 cmの血腫の形成を認めた.母体の産褥経過に問題はなく,術後7日目に退院した.児は1,647 gの男児,APGARスコア4点(1分),9点(5分)であり,Hb 9.4 g/dlと貧血を認めた.日齢39日に後遺症なく退院となった.病理検索では臍帯動脈の破綻像がみられ,臍帯動脈損傷による臍帯血腫と思われた.原因不明の胎児機能不全を認めた場合,非常に稀ではあるが,臍帯血腫を念頭に対応する必要がある.

Key words:Spontaneous hematoma of the umbilical cord, Fetal distress, Non reassuring fetal status
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