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第56巻 第4号

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症例報告
持続濾過透析を必要としたバルトリン腺膿瘍切開術後の敗血症性ショックの一例
内藤 早紀, 神尊 貴裕, 児玉 信, 長谷部 里衣, 森岡 将来, 鈴木 陽介, 竹内 亜利砂, 冨尾 賢介, 中村 泰昭, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 56(4):573-577, 2019

 バルトリン腺膿瘍は頻度の高い疾患であり,外来で切開術を行うことも多いが,切開術後に重篤な合併症を呈する事は稀である.今回我々は,切開術後わずか2時間で敗血症性ショックとなり,持続血液濾過透析の併用まで必要となった一例を経験したので報告する.
 症例は36歳女性,3か月前より外陰部腫脹と疼痛を自覚し,増悪傾向にあるため前医を受診した.左バルトリン腺膿瘍の診断となり,外来にて切開術を受けた.その約2時間後から38℃の発熱,頭痛,手足のしびれ,不穏,血圧低下(80/40 mmHg)を認め,当院へ救急搬送となった.来院時血圧110/70 mmHg,心拍数130回/分,体温38.1℃,呼吸数22回,白血球低下(1,300/mm3)より敗血症性ショックと診断した.血清乳酸値は4.9 mmol/Lと高値であり,速やかに持続血液濾過透析および抗菌薬投与を開始した.第2病日にはショックを離脱し,持続液濾過透析も終了となった.第3病日にバルトリン腺の再腫脹を認めたため,開窓術を行った.その後は連日の創部洗浄と抗生剤治療にて速やかに改善し,第8病日に独歩で退院となった.培養検査では,バルトリン腺膿瘍と血液培養2セットから共にE.coliが検出され,バルトリン腺膿瘍切開術を契機とした敗血症性ショックと考えられた.
 従来外来処置として行われることの多いバルトリン腺膿瘍切開術だが,その後発熱など状態変化があった場合には,稀ではあるが本症例のような敗血症の可能性を念頭において診療を行う必要があると考える.

Key words:Bartholin's Gland Abscess, Septic Shock, Continuous Hemodiafiltration
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