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第57巻 第1号

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症例報告
卵巣成熟奇形腫を疑った症例が11年後に未熟奇形腫と診断された1例
兼子 絢華1), 坂本 優香1), 井原 基公1), 鍵本 昌孝1), 柿沼 薫1), 河原井 麗正1), 岡田 真也2), 大和田 倫孝1), 柿沼 敏行1), 田中 宏一1)
1)国際医療福祉大学病院産婦人科
2)国際医療福祉大学病院病理診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(1):75-80, 2020

 卵巣未熟奇形腫は主に若年者に発生する比較的稀な悪性胚細胞腫瘍である.我々は,両側卵巣腫瘍(成熟奇形腫疑い)を指摘され,11年後に未熟奇形腫と診断された症例を経験した.年齢は26歳で,主訴は腹部膨満感および下腹部痛である.半年前より腹部膨満感を自覚し,数日前より下腹部痛が出現したため近医を受診し,画像所見から卵巣腫瘍(悪性疑い)と診断され,当科を紹介された.下腹部が膨隆し,MRIおよびCTでは右卵巣が約20 cmに腫大し,充実性成分が主体の中に,一部に囊胞性成分および石灰化が確認された.左卵巣は約6 cmで成熟奇形腫の像を呈していた.腫瘍マーカーはCA125 244 U/ml,CA19-9 359 U/ml,AFP 570 ng/ml,SCC 3.7 ng/mlが高値であった.卵巣腫瘍(未熟奇形腫疑い)の診断のもとに手術を実施した.まず右付属器摘出術を行い,肉眼的に被膜破綻がないことを確認し,成熟奇形腫が疑われる左卵巣腫瘍の摘出術を追加した.右卵巣腫瘍の組織型は未熟奇形腫(Grade 2)で手術進行期はIA期であった.左卵巣腫瘍の組織型は成熟奇形腫であった.卵巣成熟奇形腫内に未熟奇形腫が発生する時期を推測することは困難であるため,成熟奇形腫を含めて囊胞性腫瘍と診断された場合には速やかに手術を行い,術後も長期間の管理が勧められる.

Key words:Immature teratoma, Long term interval, Ovarian tumor
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