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第57巻 第4号

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原著
母体血を用いた出生前遺伝学的検査(noninvasive prenatal testing,NIPT)導入後の確定的検査,特に絨毛検査の動向
齋藤 理恵, 佐藤 泰輔, 津田 聡, 伊藤 由紀, 上出 泰山, 佐村 修, 岡本 愛光
東京慈恵会医科大学産婦人科学講座
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):437-443, 2020

 目的:無侵襲出生前胎児遺伝学的検査(noninvasive prenatal testing,NIPT)の導入により,従来の出生前検査施行数に変化が認められている.今回,当院のNIPT導入前後の胎児核型分析を目的とした出生前検査動向を評価するため各検査の施行数を調査した.
 方法:2011年1月1日から2018年12月31日の8年間で母体血清マーカーテスト(Maternal Serum marker test,MST),羊水検査(Amniocentesis,AC),絨毛検査(Chorionic villi sampling,CVS),そしてNIPTのそれぞれの年次施行数を評価した.また,CVSに関しては受検者の背景とその施行理由,解析結果も後方視的に調査した.
 結果:2014年のNIPT本格的導入後ACの年次施行数は減少の一途を取り半減した.しかし,MST,CVSはほとんど一定の施行数だった.特に,ACと同じ侵襲的検査であるCVSに関して施行数の変化がないことに関して詳細を検討した.受検者の年齢や妊娠週数にも大きな変化は認めなかった.CVS施行理由は高齢妊娠が最も多く,次いで核型異常に関する超音波上のハイリスク所見を認めることだった.CVSの結果で核型異常を認めたのは全例超音波上のハイリスク所見を認めた症例だった.
 結論:NIPT導入前後でACの年次施行数は減少を認めたが,MSTとCVSでは大きな変化を認めなかった.特にCVSは,胎児超音波検査でハイリスク所見を認めた症例など必要性の高い症例に確定的検査として施行することで,一定の需要が存在することが明らかになった.

Key words:核型分析, 出生前検査, 絨毛検査, 遺伝カウンセリング, NIPT(non-invasive prenatal testing)
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