【目的】子宮奇形において,完全な腟中隔を伴う重複子宮の頻度は約0.1%と少なく,腹腔鏡下手術の報告も少ない.今回我々は腟中隔切除のタイミングなどに工夫を要した1例を経験したので報告する.【症例】47歳,2妊1産(帝王切開).完全な腟中隔を伴う重複子宮.月経困難症,過多月経を主訴に受診し,子宮腺筋症,子宮筋腫の診断となり,症状改善目的に腹腔鏡下子宮全摘術の方針となった.腟腔,子宮頸部ともに右側が左側より有意に大きかったことから,右子宮にマニピュレーターを挿入し腹腔鏡下手術を施行した.腹腔鏡下の上部靭帯切離操作は通常通り施行した.腟円蓋の切開にあたり,まず右側腟にバジパイプを挿入して後腟円蓋,前腟円蓋,右腟円蓋の順に切断し,続いて左側腟に再度バジパイプを挿入して後腟円蓋,前腟円蓋,左腟円蓋の順に切離し,最後に腟中隔部分を切断して子宮を摘出する方針を取った.その後,腹腔鏡操作,腟側操作を併用して腟中隔を切除し,腟式に子宮を腹腔外に摘出した.摘出後は腟断端を縫合し,ダグラス窩腹膜を縫合した.手術時間2時間54分,出血188 mlであり,子宮重量465 gであった.自己待機血を用意していたが使用せず終了し,術後経過問題なく退院した.【考察】重複子宮に対する腹腔鏡下子宮全摘術において,腟中隔の切除を最後に行うことでより通常術式に近い工程で安全な手術が可能であった.
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