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第57巻 第4号

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症例報告
血清CA125高値を契機に診断した遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の家族歴がある腹膜癌の1例
福田 貴則, 市田 知之, 井上 裕美, 木幡 豊, 大沼 一也, 菱川 賢志, 鵜澤 芳枝, 渡辺 零美, 青柳 百合, 青柳 遼, 露木 大地, 小川 真沙里
湘南鎌倉総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):461-465, 2020

 症例は70歳,妊娠歴G4P3.既往歴は特になし.家族歴に妹が卵巣癌であり,長女が乳癌でBRCA2の病的バリアントを指摘されたが本人は遺伝学的検査を受けていない.婦人科検診希望にて当院に受診し,経腟超音波検査では子宮,付属器に異常所見なく腹水も認めなかったが,腫瘍マーカーCA125が230 U/mlと高値を示したため,PET-CTを施行した.子宮,付属器に異常はみられなかったが,下行結腸に異常集積を認めたため,下部消化管内視鏡検査するも異常所見を認めなかった.画像上,付属器に異常所見はないが家族歴と腫瘍マーカーより卵巣癌,腹膜癌の可能性が否定できないため診断的腹腔鏡下手術を施行した.腹水は少量で両側卵巣は正常大であったが,骨盤腔を中心に粟粒性に腹膜播種を認め,骨盤壁に癒着した大網に腫瘤性病変を認めた.腹腔鏡下両側付属器摘出術,大網部分切除術を施行した.大網の腫瘤病変の病理組織はHGSC(high grade serous carcinoma)であり,卵管にはSTICは認めず,両側卵巣漿膜面に1 mmのHGSCのみを認めたため腹膜癌IIIC期(pT3cNxM0)と診断した.術後,補助化学療法としてTC療法を6コース施行した.HBOCの家族歴がある場合,本人が診断されていなくても血清CA125が高値の時は速やかな画像精査や場合により手術精査が必要であると思われた.

Key words:HBOC, peritoneal cancer, CA125
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