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第57巻 第4号

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症例報告
エリスロポエチン産生による赤血球増多症と考えられた巨大子宮筋腫の1例
大岩 一平1), 高柳 裕子3), 鈴木 聡史2), 藤本 喜展2), 笠井 健児2)
1)東海大学医学部付属八王子病院産婦人科
2)平塚市民病院産婦人科
3)慶應義塾大学産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):473-478, 2020

 子宮筋腫に伴う多血症は筋腫関連赤血球増多症(myomatous erythrocytosis syndrome:MES)と定義される.今回MESと考えられた1例を経験したので報告する.症例は52歳女性,1妊1産.2型糖尿病,筋腫核出術の既往あり.排尿困難を自覚し前医を受診し,巨大子宮筋腫を指摘され手術目的に当院紹介となった.経腟超音波断層法では骨盤内に巨大充実性腫瘤を認め,MRIでは子宮頸部から発生する20 cm大の子宮筋腫を認めた.血液学的検査所見ではHb 19.0 g/dl,エリスロポエチン40.7 mU/mlと高値を示し,多血症を認めた.入院時のD-dimerは8.0 μg/mlと上昇を認めたため,下肢静脈血栓評価を行なった.超音波断層法では血栓を認めなかったが,血栓リスクを考慮し,術前に下大静脈(IVC)フィルターを留置した.手術当日,尿管ステント挿入,単純子宮全摘術,両側付属器摘出術を施行した.術後経過は良好であり,術後3日目にフィルター抜去,9日目に退院となった.永久病理標本は平滑筋腫の診断であった.術後5日目に測定したHbは12.9 g/dlと正常値であり,エリスロポエチンも9.2 mU/mlと正常範囲内であったことから,筋腫からのエリスロポエチン産生に伴う多血症であったと考えられた.巨大子宮筋腫に多血症を合併した場合,本疾患を念頭に入れ,血栓合併症に注意した周術期管理が必要と考える.

Key words:uterine leiomyoma, myomatous erythrocytosis syndrome, thromboembolism
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