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第57巻 第4号

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症例報告
IVF-ET後に重症OHSSを発症し,静脈血栓症を発症するも生児を得た一例
蒲田 郁, 北 直喜, 山口 まどか, 森 悠樹, 長谷川 裕子, 相野谷 陽子, 和田 篤, 岡本 一, 越智 有美
筑波学園病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):505-509, 2020

 IVF-ETの合併症の一つとしてOHSSが挙げられる.今回,IVF-ET後に重症OHSSを発症し,右内頸静脈―鎖骨下静脈にかけて血栓形成を認め,分娩直前まで抗凝固療法を行いながら生児を得た症例を経験したため報告する.症例は31歳,0妊0産.Long法でdown regulationを行い,前周期よりGnRHagonistを開始し,調節卵巣刺激はpure FSH製剤を用い,合計1,500単位投与.hCG10,000単位で卵胞成熟を行い採卵施行し,8個採卵.Day2で新鮮胚移植を行い妊娠成立.移植後5日目に重症OHSSの診断で入院となり,アルブミン療法,ドーパミン療法に加えて,腹水濾過濃縮再静注法を施行.また,D-dimer上昇あり血栓症予防としてダルテパリンナトリウム,胎児心拍確認後はヘパリンナトリウムの投与を行った.しかし抗凝固薬投与下において,内頸静脈―鎖骨下静脈の血栓症を発症.ヘパリンナトリウムを増量し,妊娠期間を通してヘパリンカルシウム投与を継続しながら39週0日,分娩に至った.分娩後は産褥1日目よりヘパリンカルシウムの投与を再開し,その後はワルファリンカリウム内服に切り替えて退院となった.妊娠はOHSSのリスクファクターの1つであり,血栓症発症を予防するためにひときわ慎重な管理が望まれる.

Key words:IVF-ET, severe OHSS, venous thrombosis
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