Peutz-Jegher syndrome(以下PJS)では若年から様々な部位の悪性腫瘍が高頻度で発生する.PJSの経過観察中に子宮頸部最小偏倚腺癌(minimal deviation adenocarcinoma,以下MDA)による癌性腹膜炎を生じた1例を経験したので報告する.
症例は28歳,0妊0産.小学生でPJSと診断されている.腹痛と嘔吐で救急搬送となった.2か所の小腸重積と両側卵巣腫瘍,子宮頸部多房性囊胞を認め,小腸部分切除と両側卵巣腫瘍摘出,子宮頸部生検を施行し,Peutz Jeghers polyp(以下PJ polyp),両側卵巣内膜症性囊胞,頸部ナボット囊胞と診断された.初回治療2年半後に月経困難と腹痛悪化を認め,子宮・両側卵管留血腫,骨盤腹膜炎と診断し,子宮腔内ドレナージ,抗生剤治療,GnRHアナログを開始した.同時に行った子宮内膜・頸部細胞診検査は陰性であった.初回治療3年後に子宮・両側卵管留血腫の悪化を認め,子宮内容液から異型細胞を検出し,子宮頸部円錐切除術で子宮頸部粘液性癌のサブタイプであるMDAと診断した.膀胱壁浸潤や腹膜播種を認め,化学療法を開始するも全身状態が悪化し,初回治療3年5か月で死亡した.
MDAは早期診断が困難となることもあるため,病理組織学的検査や画像検査などで総合的に評価する必要がある.PJSに子宮頸部病変を認めた場合は,術前に悪性の診断に至らなくても早期の子宮全摘術の検討は必要である.
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