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第57巻 第4号

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症例報告
腹腔鏡下手術で診断,治療を行った妊娠初期の原発性腹膜妊娠の一例
上田 麗子, 伊集院 昌郁, 峰 優子, 和泉 春奈, 荒田 与志子, 持丸 綾, 佐治 晴哉
藤沢市民病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):569-573, 2020

 腹膜妊娠は全異所性妊娠の約1%程度と稀な疾患で,卵管妊娠と比較すると術前妊娠部位の同定が困難である.今回我々は腹痛を契機に受診し,腹腔鏡下手術によって妊娠初期に原発性腹膜妊娠と診断,治療した症例を経験した.症例32歳,3妊1産,近医で排卵誘発とタイミング療法を行い,推定排卵日より妊娠3週5日に突然右下腹部痛が出現し救急搬送となった.性器出血はなく,右下腹部に圧痛・反跳痛を認めた.血中hCG 3,421 mIU/ml,経腟超音波で子宮内外に明らかな胎囊はなく,右付属器領域に17 mm大の腫瘤像およびダグラス窩に中等量液体貯留35 mmを認めた.右卵管妊娠の疑い,腹腔内出血の診断で腹腔鏡下手術を施行した.術中所見は腹腔内に凝血塊を含む中等量の血液の貯留があり,両側卵巣・卵管は正常であった.腹腔内出血を吸引すると,膀胱子宮窩腹膜に径1 cm大の着床部位があり腹膜妊娠と診断した.超音波凝固装置を用いて腹膜と共に絨毛組織を摘出した.術後9日目血中hCG 62 mIU/mlと下降し,62日に陰性化した.術後の再検討により妊娠7週相当の腹膜妊娠と判断した.腹膜妊娠は妊娠初期に着床部位の同定することが困難であるが,腹腔内出血により腹痛を呈した妊娠初期の異所性妊娠において,腹膜妊娠も鑑別に上げる必要があると考えられた.

Key words:Ectopic pregnancy, Intraabdominal bleeding, Primary peritoneal pregnancy, Laparoscopic surgery
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