子宮頸管妊娠は全妊娠のおよそ9,000分の1で発生し,自然妊娠に比べ体外受精妊娠で発生頻度が高い.治療は子宮摘出術が考慮されるが,妊孕性温存を図る場合はメソトレキセート(Methotrexate:MTX)療法や子宮動脈塞栓術(Uterine Artery Embolization;UAE)併用による子宮内容除去術が報告されている.しかしながらMTX療法では不妊治療再開の遅延,UAEでは次回妊娠への影響などが指摘されている.
近年,子宮頸管妊娠に対して希釈バソプレシン局所投与を併用した子宮内容除去術に関する報告がみられるようになったがその報告例は少ない.
今回妊孕性温存希望症例に対してバソプレシン局所投与併用による子宮内容除去術を行った.大量出血などの合併症をおこさず,また不妊治療を早期に再開できた.
本手技はMTX療法やUAEの合併症やデメリットを補う利点がある.本手技の報告数は多くなく,今後さらなる症例の検討が必要であると思われるが,妊孕性温存希望症例で選択肢の1つになり得る可能性が示唆された.
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