書誌情報

第57巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
子宮頸部内膜症性囊胞からの悪性転化が疑われた明細胞癌の一例
道崎 護, 西村 俊夫, 髙橋 梓, 井上 直紀, 小暮 佳代子, 池田 禎智, 平川 隆史, 岩瀬 明
群馬大学医学部附属病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):601-607, 2020

 卵巣に発生する子宮内膜症性囊胞は明細胞癌の発癌母地となることはよく知られているが,近年子宮頸部に発生する明細胞癌と子宮内膜症の関連が報告されている.今回子宮頸部内膜症性囊胞からの悪性転化が疑われた明細胞癌の一例を経験したため報告する.
 症例は54歳女性,未経妊,閉経52歳.8年前より子宮筋腫,左卵巣内膜症性囊胞に対して偽閉経療法を受けていた.腹部膨満感のために撮影した骨盤部造影MRIで子宮頸部後壁に新規囊胞性病変を認め当院紹介となった.頸部囊胞は深部に位置しており豊富な血流を有し,針生検や円錐切除による診断は困難と判断した.細胞診,組織診で悪性の証明が得られなかったが画像上は悪性を疑い,診断及び治療のため腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術を施行した.ダグラス窩腹膜に褐色斑を数か所認め,子宮内膜症の存在が示唆された.摘出子宮の頸部後壁に内部に充実成分を伴う囊胞性病変を認めた.病理検査では頸部囊胞に明細胞癌を認め,腫瘍の周囲に子宮内膜症に類似した組織像がみられた.子宮頸癌IB1期と診断し術後治療として放射線化学治療を施行した.その後の経過観察で再発は認めていない.
 子宮内膜症を発生母地とする子宮頸部明細胞癌は深在性の病変が多く組織学的診断に難渋する場合があるが,画像的に複雑な構造を持つ病変については悪性腫瘍の可能性を考慮し,積極的に組織学的診断を行った上で治療方針を検討することが望ましい.

Key words:Clear cell carcinoma, Endometriosis, cervical cancer, Cervical cyst
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会