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第57巻 第4号

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症例報告
本邦における妊娠中の嵌頓子宮の管理
石沢 千尋, 中山 敏男, 入江 美穂, 橋本 彩子, 瀬山 貴博, 熊澤 恵一, 入山 高行, 永松 健, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学医学部附属病院女性診療科・産科
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):629-637, 2020

 嵌頓子宮は全妊娠の約1/3,000に発症する稀な疾患であり,早産,子宮破裂,胎児発育不全などの産科合併症のリスクとなる.今回,尿閉を契機に嵌頓子宮と診断され,その後嵌頓が解除されるも妊娠20週に後期流産に至った症例を経験したため,本邦での既報と併せ妊娠中の嵌頓子宮管理について考察した.症例は36歳1妊0産.妊娠13週に尿閉が出現し,間欠自己導尿を開始した.妊娠14週,子宮後屈を診断し,尿閉の改善目的にペッサリーを挿入した.その後嵌頓子宮は解除されたが,妊娠19週に性器出血と胎胞膨隆にて入院.絨毛膜羊膜炎と診断され妊娠20週に後期流産に至った.本邦での嵌頓子宮に関する2018年までの症例報告66例をまとめた.分娩時に初めて診断がついたのは13例で,妊娠中に診断された53例中,整復が試みられたのは11例(妊娠15~20週)で,うち10例が整復された.整復せず経過観察された42例中8例(妊娠23~35週)は自然整復された.整復が試みられた2例に自然流産があった.分娩時に非嵌頓子宮17例と嵌頓子宮46例を比較すると,早産率・帝王切開率・出血量に差を認めた.妊娠中の嵌頓子宮の合併症の頻度や適切な管理について一定の見解は未だなく,自然整復の時期や頻度,整復介入の必要性などについて症例蓄積と更なる議論が必要である.

Key words:Retroverted uterus, Incarcerated gravid uterus, Abortion, Urinary retention, Chorioamnionitis
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