書誌情報

第57巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

特集 第138回学術集会優秀演題賞演題
臍帯過捻転の胎盤病理の出生前超音波ドプラ診断
古谷 菜摘, 長谷川 潤一, 鈴木 直
聖マリアンナ医科大学・産婦人科学
関東連合産科婦人科学会誌, 57(4):663-669, 2020

 【目的】臍帯過捻転による胎児発育不全の胎盤・臍帯の病態,病理を,微細超音波ドプラによって明らかにすること.
 【方法】当院のMFICUに入院した胎児発育不全と臍帯過捻転を認める妊婦に,Aplio i700(Canon Medical Systems)で微細ドプラ(Superb Microvascular Imaging;SMI)を用いて,分娩近くに胎盤の絨毛血管と絨毛間腔の状態を観察した.得られた胎盤の超音波断層検査所見の位置は,胎盤や臍帯の付着部位よりマッピングし,娩出後の胎盤や卵膜の破裂孔の位置より同部を推定して切り出しを行い,病理組織所見と比較検討した.本研究は,当院の倫理委員会の承認を得ている.
 【結果】正常絨毛のドプラでは,絨毛間腔を反映する細かい散乱像を背景にした,先の尖った樹枝状の絨毛血管を認めた.提示する3例の-2~-5 SDの過捻転症例では,臍帯付着部から血管の拡大所見を認め,その末梢で無エコーもしくは,樹枝状の末梢絨毛のない散乱像が認められた.病理所見では,SMIでの無エコー部は壊死,散乱像を認める場所では,絨毛間腔の保たれている無血管絨毛を認めた.
 【考察】臍帯過捻転では,臍帯静脈の血流鬱滞が末梢の絨毛血管まで波及し,微小血栓が形成されて臍帯静脈側の循環障害がおきる.SMIを用いて,過捻転のある生体中でその様な血流障害血流不全が起きていること,病理所見とも一致することを示した.

Key words:hypercoiled cord, placenta, pathology, color doppler, ultrasound
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会