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第58巻 第1号

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原著
バソプレシン・インジゴカルミン混合液を使用した腹腔鏡下子宮筋腫核出術の有用性について―病理学的所見を含めた考察―
冨尾 賢介1), 林 正路2), 井上 陽美1), 八條 隆汰1), 大寺 紳一郎1), 本城 晴紀1), 竹内 亜利砂1), 神尊 貴裕1), 中村 泰昭1), 五十嵐 敏雄1), 梁 善光1)
1)帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
2)医療法人鉄蕉会亀田総合病院生殖医療科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):1-7, 2021

 目的:腹腔鏡下子宮筋腫核出術(Laparoscopic Myomectomy;以下LM)時には,適切な層で筋腫を剝離,核出することが重要となる.今回,剝離層を簡便かつ正確に同定するための工夫として,バソプレシンにインジゴカルミンを混合して子宮筋層への局注を試み,その有用性につき検討した.
 対象と方法:LM時に,従来使用していたバソプレシン20単位+生理食塩水100 mLの混合液にインジゴカルミン20 mgを混合し,従来同様に子宮筋層へ局注して33例に手術を行った.さらに,病理学的に本法の妥当性を検証するとともに,術後の合併症・妊娠例の検討を行った.
 結果:インジゴカルミン混合液では,血流により色素が組織内に取り込まれることで正常筋層は青染するが,血流の乏しい筋腫核は青染しないため白色調のままであり,視覚的コントラストが明瞭化した.また病理学的には近年温存すべきとされているMyoma Pseudocapsule(偽カプセル;以下,MPC)の層までインジゴカルミン混合液で青染することが確認された,また,術後合併症や妊娠症例での周産期合併症も認めなかった.
 結論:本法は青染する正常筋層とMPC,白色調の筋腫核とのコントラストは明瞭であり,MPCを温存した剝離層の同定にも有用であると考えられた.症例を積み重ねての検討課題も残るが,今後汎用性の高い手技として期待される.

Key words:laparoscopic myomectomy, indigo carmin, vasopressin, myoma pseudocapsule
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