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第58巻 第1号

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症例報告
肝移植後の双胎妊娠の1例
吉岡 俊輝, 岩田 亜貴子, 野口 結, 岩泉 しず葉, 鈴木 琴音, 愛知 正裕, 三品 亜純, 平原 裕也, 須郷 慶信, 倉澤 健太郎, 宮城 悦子
横浜市立大学附属病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):55-59, 2021

 肝移植後妊娠は,妊娠高血圧症候群などの合併症の発症率上昇や免疫抑制剤内服による母体感染症,急性拒絶反応,早産や低出生体重児のリスクがあり,慎重な管理を要すると報告されているが,双胎妊娠の報告は稀で,本邦での報告はこれまでにない.今回我々は,肝移植後の双胎妊娠の1例を経験したため報告する.
 症例は37歳,1妊0産,先天性胆道閉鎖症に対して,33歳時に生体肝移植術の既往がある.クロミフェンによる排卵誘発で妊娠成立し,妊娠7週時に二絨毛膜二羊膜双胎と診断した.妊娠15週より第二子に18トリソミーを疑う多発奇形や胎児発育不全を認めた.妊娠27週0日に切迫早産の診断で入院管理とした.妊娠36週1日に帝王切開術を施行した.手術直後に重症妊娠高血圧症候群を発症し,降圧薬と硫酸マグネシウムを投与した.経過中に移植片の拒絶反応や感染徴候は認めなかった.第一子は生後8日目に正常退院,第二子は18トリソミーの診断となった.
 今回,肝移植後の双胎妊娠に対する慎重な管理により生児を得られた.多職種連携を要するため管理可能な施設は限られ,新生児集中治療室の病床管理や緊急時の母体搬送先についても事前の検討を要する.肝移植後患者には妊娠時のリスクについても患者教育を十分に行うこと,不妊治療では多胎妊娠とならないよう配慮することが望ましい.

Key words:Organ Transplantation, Liver transplantation, Pregnancy, Twin Pregnancy
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