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第58巻 第1号

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症例報告
腹腔鏡下に診断された片側および両側卵巣卵管欠損の2症例
伊東 菜摘, 北 直喜, 角 央彦, 山口 まどか, 津曲 綾子, 長谷川 裕子, 越智 有美, 相野谷 陽子, 和田 篤, 岡本 一
筑波学園病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):67-72, 2021

 女性生殖器の形態異常のうち卵巣卵管欠損の報告は稀である.今回,腹腔鏡で診断した片側および両側卵巣卵管欠損の2症例を経験したので報告する.症例1,35歳,既婚,1妊0産(人工妊娠中絶1回).不妊症のため施行した子宮卵管造影で両側卵管間質部閉鎖を指摘され,卵管鏡下卵管形成術および腹腔鏡を施行したところ,左卵巣卵管の欠損を認めた.右卵巣卵管・卵巣固有靭帯・骨盤漏斗靭帯は正常であったが,卵管鏡で右卵管の高度狭窄を認め,卵管疎通性は得られなかった.子宮形態異常はなく,円靭帯は正常であった.その後体外受精により妊娠・出産した.症例2,29歳,既婚,0妊0産.原発性無月経のため19歳時よりカウフマン療法を施行されていた.29歳時に挙児希望のため不妊基本検査を開始した.子宮卵管造影で両側卵管間質部閉鎖を指摘され,AMH低値,FSH高値,原発性無月経の既往より両側卵巣欠損が疑われた.卵管鏡下卵管形成術の方針となり,腹腔鏡を施行したところ両側卵巣卵管の欠損を認めた.子宮形態異常はなく,円靭帯は正常に認められた.卵巣卵管欠損は腹腔鏡で偶発的に発見されることが多く経腟超音波や子宮卵管造影などでの診断は困難である.成因は発生異常と付属器茎捻転の2つが考えられており,自験例は発生学的に同じ導帯に由来する円靭帯が正常であったことから後者の付属器茎捻転に続く自然脱落により卵巣卵管欠損が生じたと推察された.

Key words:unilateral, bilateral, absence, fallopian tube, ovary
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