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第58巻 第1号

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症例報告
完全中隔子宮の右側子宮に発生した子宮体癌の1例
阿部 翠1), 岩瀬 春子1), 田雑 有紀1), 中村 基寛1), 遠藤 真一1), 古川 正義1), 大西 賢人1), 髙田 恭臣1), 新井 正秀2), 吉野 修1), 恩田 貴志3)
1)北里大学産婦人科
2)独立行政法人地域医療機能推進機構相模野病院産婦人科
3)医療法人財団順和会山王病院女性腫瘍センター・婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):101-108, 2021

 先天性の子宮形態異常は稀であるが,子宮体癌を合併することはさらに稀である.双角子宮や中隔子宮で癌が片側に限局すると,特に診断に苦慮する場合がある.今回,不正性器出血や著明な子宮内膜肥厚を認めていたものの,当初は子宮形態異常を認識できなかったため,診断に苦慮した子宮体癌症例を経験した.症例は45歳,0妊0産.2年前,不正性器出血と内膜肥厚のため当科へ紹介となったが,内膜細胞診,組織診で異常を認めず,経過観察とした経緯があった.今回,前医での子宮頸管ポリープの生検で腺癌と診断されたため,当院へ再紹介となった.経腟超音波で著明な内膜肥厚を認めたが,内膜細胞診,組織診では異常を認めなかった.しかし,造影MRI検査で重複子宮と右側子宮内に充満する腫瘍を認め,再度の診察で腟中隔と右側の腟腔が確認できた.右側子宮からの選択的内膜生検の結果は腺癌で,子宮体癌の診断で根治術を施行した.摘出子宮は完全中隔子宮であり,病理診断は右側子宮の中分化型類内膜癌であったが,左側子宮には異常所見を認めなかった.進行期(FIGO2008)はII期(pT2N0M0)であり,術後は化学療法を行い,現在無再発生存中である.双角子宮や中隔子宮で片側のみに癌を発症した場合,病側から検査しなければ診断できない.超音波所見と病理所見の乖離がある場合には,子宮形態異常の可能性も考慮し,MRIなど積極的な画像検査が重要と考えられた.

Key words:Endometrial cancer, Septate uterus, Uterine malformation
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