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第58巻 第1号

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症例報告
両側卵管切除術後に残存卵管峡部妊娠となった一例
石橋 弘樹, 宮本 守員, 岩橋 秀樹, 垣本 壮一郎, 坂元 崇洋, 羽田 平, 角倉 仁, 伊藤 翼, 鈴木 理絵, 高野 政志
防衛医科大学校病院産科婦人科学講座
関東連合産科婦人科学会誌, 58(1):123-127, 2021

 異所性妊娠は全妊娠の約1~2%に発症し,卵管切除術後の残存卵管妊娠は極めて稀とされている.今回,我々は両側卵管切除術後に残存卵管峡部に異所性妊娠した症例を経験したので報告する.
 症例は35歳,2妊0産,受診3か月前に両側卵管留水腫に対して腹腔鏡下両側卵管切除術を施行された.その後,前医で胚移植により妊娠成立後,妊娠6週5日に子宮内に胎囊がなく異所性妊娠の疑いで,当院紹介となった.子宮に軽度圧痛があり,腟鏡診では性器出血はなかった.血液検査では血中hCG 12,619.1 mIU/ml,WBC 7,300/μl,Hb 13.5 g/dl,HcT 39.6%,Plt 26.1万/mlで明らかな異常はなかった.骨盤部単純MRI検査で子宮底部左側にT2強調画像で高信号を示す囊胞性病変があり,左側残存卵管妊娠を疑い同日緊急腹腔鏡下手術を施行した.子宮底部左側に凝血塊が付着し,残存した左側の卵管峡部が膨隆し持続性の出血をしており,左側残存卵管切除術を施行した.病理組織学的検査で,摘出した左卵管峡部より絨毛成分が検出され,左側残存卵管峡部妊娠と診断した.血中hCGは術後30日目に陰転化した.卵管切除術の既往がある症例でも残存卵管妊娠を含めた異所性妊娠の可能性を考慮して診察を行う必要がある.

Key words:ectopic pregnancy, isthmic pregnancy, remnant tube, laparoscopic surgery
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