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第58巻 第4号

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症例報告
産褥期のUAE後再出血に対して腹腔鏡下子宮全摘術を施行した症例
道佛 美帆子1), 岡田 有紀子1), 文屋 沙也香1), 渕向 なつみ2), 末吉 寿実鼓1), 古賀 絵理1), 大沼 えみ1), 齊藤 真1), 高見 美緒2), 最上 多恵1), 宮城 悦子3), 榊原 秀也1)
1)横浜市立大学附属市民総合医療センター婦人科
2)横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター
3)横浜市立大学附属病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):464-469, 2021

 今回我々は,経腟分娩後の大量出血に対し子宮動脈塞栓術(UAE)を行うも,再出血を来し腹腔鏡下子宮全摘術を施行した症例を経験したので報告する.
 症例は,44歳,4妊1産,不妊治療により妊娠成立し,妊娠38週0日経腟分娩したが,分娩後に異常出血を来し当院に緊急搬送された.来院時,SI 1.5,Hb 2.3 g/dl,Plt 4万/μL,産科DICスコア9点で「産科危機的出血」と判断し,全身管理とともに原因検索を行った.CT画像所見から不全子宮破裂と診断し,UAEを施行した.産褥27日目に再出血を認め,施行した骨盤MRI画像では,胎盤遺残・癒着胎盤の可能性を疑った.産褥33日目に再々出血を認め,緊急腹腔鏡下子宮全摘術を施行した.
 子宮体下部に血流豊富な腫瘤を認めていたためウテリンマニピュレーターは留置せず,代わりにバジパイプ及び第1助手の鉗子操作で子宮の可動性を得るようにした.産褥子宮では,組織が軟らかく脆弱なため,牽引により容易に損傷・出血を来し,術野展開には難渋した.また,子宮頸部周囲の血管が発達しており,尿管の同定,傍結合組織の処理の際にも出血が多くなったが,輸血および合併症なく終了した.病理組織学的検査では,単純癒着胎盤と診断された.
 産褥期の子宮全摘術を施行する際には,経時的な子宮の変化および出血のリスクが高いことを念頭に術式の決定および手術を施行することが肝要であると考えられた.

Key words:puerperal surgery, laparoscopic surgery
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