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第58巻 第4号

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症例報告
初回治療後15年後に子宮体部に転移した乳癌の一例
笠原 太郎, 氏平 崇文, 符 莉, 川田 美里, 正岡 駿, 保田 歩, 石田 ゆり, 陣内 理子, 市山 卓彦, 桜井 理沙子, 山田 敦子, 高水 藍, 小泉 朱里, 山本 祐華, 太田 剛志, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):470-474, 2021

 乳癌は,初期治療から長期経過後に再発することが知られているものの,子宮体部への転移は稀である.今回,術後15年目に子宮体部筋層への転移を認めた症例を経験したため報告する.
 症例は52歳,2妊2産,37歳時に左乳癌と診断され,左胸筋温存乳房切除術,腋窩リンパ節郭清術が施行された.浸潤性乳管癌,T3N2M0,HER2・ER・PgRは陽性,Ki67は85%と高値であった.術後治療として化学療法(AC療法;ドキソルビシン,シクロホスファミド),ホルモン療法(リュープロレリン酢酸塩,タモキシフェンクエン酸塩)が施行された.初回治療から10年後に左鎖骨上および傍大動脈リンパ節に再発を認め,アロマターゼ阻害薬及びフルベストラント開始した.初回治療から15年後,PET/CTで腫大した子宮及び傍大動脈リンパ節に集積を認め当科紹介となった.子宮原発巣と乳癌転移巣の鑑別目的に,腹式単純子宮全摘出術,両側付属器摘出術,傍大動脈リンパ節生検術を施行した.病理診断にて,既往乳癌検体の組織型と一致したため乳癌の子宮転移と診断した.術後アロマターゼ阻害薬及びパルボシクリブによる治療を施行中で,再発を認めていない.
 乳癌の子宮転移は非常に稀だが,今後乳癌の罹患率が高くなるにつれ,乳癌の子宮転移症例に遭遇する可能性は高いと予想される.転移性子宮癌の診断において,原発臓器として乳腺も念頭に入れて診療にあたるべきと考える.

Key words:Breast Cancer, PET, Uterine myometrial Metastasis
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