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第58巻 第4号

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症例報告
骨髄異形成症候群に合併した子宮頸癌に対し腹腔鏡下広汎子宮全摘術を施行した一例
小林 奈津子, 大井 由佳, 田中 舞, 鈴木 絢, 宮本 麻美, 北島 麻衣子, 峰 優子, 笠井 絢子, 茶木 修, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):482-488, 2021

 骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)は,造血幹細胞の単クローン性造血障害により引き起こされる血球減少症を来す慢性難治性の疾患である.今回我々はMDSに合併した子宮頸癌IB1期に対し,腹腔鏡下広汎子宮全摘術を施行した症例を経験したので報告する.症例は65歳,1妊1産,閉経48歳.3年前にMDSと診断され,当院血液内科で経過観察中,1か月前より認める不正出血を主訴に近医受診し,子宮頸部細胞診及び頸管ポリープ切除検体の病理組織検査の結果扁平上皮癌のため,当科紹介受診.子宮頸部組織診は上皮内癌で,MRIでは子宮頸部病変は指摘できなかった.癌研式子宮頸部円錐切除術を施行し,病理組織検査で上皮内癌の診断であったが,前医の病理組織結果と合わせて子宮頸癌IB1期と診断した.3系統に及ぶ汎血球減少を認め,化学療法及び放射線療法は困難と判断,手術の方針とした.術前赤血球液と濃厚血小板を輸血し,腹腔鏡下広汎子宮全摘術を施行したが,出血や感染症等の合併症なく,術後9日目に退院となった.現在再発徴候なく外来経過観察中である.本症例のようなMDS合併早期子宮頸癌症例では,化学療法や放射線治療が実施できないことがある.血球減少による貧血や易感染性など周術期に留意すべき点は多いが,開腹術より低侵襲である腹腔鏡下広汎子宮全摘術は有用であり,安全に施行可能であると考えられた.

Key words:Myelodysplastic syndrome, Laparoscopic radical hysterectomy, Cervical cancer
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