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第58巻 第4号

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症例報告
心筋切除術既往のある閉塞性肥大型心筋症合併妊娠に対して妊娠前より関連診療科と連携して生児を得た一例
近藤 有紀, 伊賀 健太朗, 曽我 江里, 寺田 周平, 今野 寛子, 鈴木 貴士, 松下 充, 安達 博, 村越 毅
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):525-531, 2021

 肥大型心筋症合併妊娠は,妊娠前に病状がコントロールされていることで周産期の病状悪化のリスクが低下するという報告がある.また心不全や不整脈の発症は特に妊娠中期および分娩直後に多いとされている.今回,我々は心筋切除術既往のある閉塞性肥大型心筋症合併妊娠に対し心臓血管外科をはじめとした関連診療科と連携し,妊娠前から分娩後まで円滑に母体の心機能の管理を行い生児を得た一例を経験したので報告する.
 27歳2妊0産.1歳時より閉塞性肥大型心筋症の診断で内科的治療を受けており,16歳時に左室流出路拡張目的に心筋切除術を受けた.26歳時に挙児を希望したため,成人先天性心疾患カンファレンスを通じて心臓血管外科を中心とした協議が行われ,左室流出路圧較差24 mmHg,BNP 231.5 pg/mlと心機能は増悪なく経過していることから,妊娠に可耐と判断された.その後,妊娠前相談目的に当科を受診した後,自然妊娠が成立した.周産期には関連診療科と連携しながら妊娠管理を行い,妊娠36週に選択的帝王切開分娩とした.経過を通じて母体の心機能の増悪なく,術後14日に児とともに独歩退院した.
 肥大型心筋症合併妊娠においては,妊娠前より関連診療科と情報を共有し,周産期を通じて心機能の評価・管理を行うことが必要であると考えた.

Key words:Congenital Heart Defect, High-Risk Pregnancy, Hypertrophic Cardiomyopathy, Preconception Care
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