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第58巻 第4号

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症例報告
筋腫分娩との鑑別を要した腟壁発生Angiomyofibroblastomaの1例
豊田 奏子, 尾池 妙, 小暮 佳代子, 井上 拓哉, 東 杏莉, 中尾 光資郎, 池田 禎智, 平川 隆史, 岩瀬 明
群馬大学医学部附属病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):532-537, 2021

 Angiomyofibroblastoma(AMFB)は稀な良性間葉系腫瘍で,術前の確定診断は困難であることが多い.今回我々は筋腫分娩疑いのため紹介されたが,手術切除検体から腟壁より発生したAMFBと診断した1例を経験した.症例は44歳,未経妊.不正性器出血を主訴に近医を受診し,筋腫分娩疑いで当院紹介となった.内診では後方に基部をもつ腟内腫瘍を認めた.MRIではT2WI低信号域と高信号域が混在し,造影効果を有する境界明瞭な9 cm大の腫瘍を認め,間葉系腫瘍を疑った.典型的な平滑筋腫とは様相が異なり,悪性腫瘍の可能性も考慮して生検を行ったところAMFBまたはAggressive angiomyxoma(AAM:AMFBと異なり浸潤性に増殖する)を疑う所見であった.子宮内膜組織診で子宮内膜異型増殖症の存在も示唆され,腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術及び腫瘍切除術を行った.術中所見では腫瘍は後腟壁由来であり,術後に組織学的にAMFBと診断された.AMFBは良性腫瘍だが,術中多量出血や,切除断端陽性例での再発報告もあるため,これらに留意して手術にあたる必要がある.画像所見のみで鑑別することは困難だが,超音波検査,MRIは鑑別の一助となる.間葉系腫瘍の診療に際しては遭遇頻度の高い平滑筋腫の他,本症例のように良性であっても切除を要する腫瘍の可能性も念頭に置く必要がある.

Key words:Angiomyofibroblastoma, Vagina
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