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第58巻 第4号

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症例報告
ステロイド・抗菌薬・カベルゴリンの併用が治療に有効であったプロラクチノーマ合併妊娠に発症した結節性紅斑を伴う肉芽腫性乳腺炎の1例
今 翼, 小倉 剛, 佐藤 愛佳, 大橋 加奈, 陳 央仁, 重光 貞彦
社会福祉法人恩賜財団済生会龍ケ崎済生会病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):538-544, 2021

 肉芽腫性乳腺炎(granulomatous mastitis:GM)は,乳腺に炎症性腫瘤を形成する比較的稀な疾患であり,稀に結節性紅斑(erythema nodosum:EN)を合併する.病因は不明であり治療法も確立されていない.今回我々はプロラクチノーマ合併妊婦において,ENを併発したGMの一例を経験したので報告する.症例は29歳,2妊1産,乳房の発赤・腫脹を認め,四肢に疼痛を伴う紅斑が出現したため,妊娠25週に入院した.下腿,乳房より生検を施行し,それぞれENおよびGMと診断した.プレドニゾロン(PSL)20 mg/日を投与し,症状の改善を認めた.妊娠26週に退院し,以降PSL 5 mg/日まで漸減した.乳房の細菌培養からはCorynebacterium kroppenstedtii(C. kroppenstedtii)を検出したため,妊娠34週からerythromycin 800 mg/日の投与を開始した.妊娠39週に経腟分娩で2,680 gの男児を出産し,初乳を授乳した後に断乳してカベルゴリン内服を再開した.以後症状の再燃はなく経過している.近年,GMの病因として自己免疫疾患やC. kroppenstedtii感染,高プロラクチン血症の関与が推測されており,本症例も,その関連が示唆された.また本症例からステロイドと抗菌薬,カベルゴリンの併用が治療に有効であると考えられた.

Key words:Granulomatous mastitis, Erythema nodosum, Pregnancy, Corynebacterium kroppenstedtii, Prolactinoma
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