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第58巻 第4号

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症例報告
リンパ管造影とドレンからの囊胞造影により単回の硬化療法で治療しえた症候性リンパ囊胞の1例
荻山 めぐみ1), 小原 久典1), 上條 恭佑2), 品川 真奈花1), 竹内 穂高1), 井田 耕一1), 樋口 正太郎1), 山田 靖1), 宮本 強1), 塩沢 丹里1)
1)信州大学医学部産科婦人科学教室
2)飯田市立病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):559-564, 2021

 後腹膜リンパ節郭清術後のリンパ囊胞は,感染や水腎症,静脈血栓症などの原因となり,管理に苦慮することがある.今回,尿閉と腎機能障害を来した症候性リンパ囊胞に対して,リンパ管造影とドレンからの囊胞造影により,事前に適切な体位とミノサイクリンの注入量を決定することで,単回の硬化療法だけで治療しえた1例を経験したため報告する.
 症例は70歳の女性で,子宮体癌に対し腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網部分切除術,骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術を施行した.術後に尿閉と腎機能障害が出現したため,CT検査を施行したところ,右骨盤壁に長径19 cmのリンパ囊胞が認められた.CTガイド下にリンパ囊胞を穿刺し,ドレンを留置したが,リンパ囊胞は縮小しなかったためミノサイクリンを用いた硬化療法を施行する方針とした.適切なミノサイクリンの注入量と体位を決定するために,硬化療法施行前にまずリンパ管造影でリンパ液の漏出部位を同定した.さらにドレンからの囊胞造影により,硬化液が漏出部位を十分に覆うことができる適切な体位と硬化液の注入量を決定した.その後その量のミノサイクリンを用いた硬化療法を行なったところ,単回の薬剤投与でリンパ囊胞は消失し,合併症も認められなかった.
 硬化療法を施行する際には,リンパ管造影による漏出部位の特定とドレンからの囊胞造影により事前に体位や薬剤投与量を検討することが有効と考えられた.

Key words:lymphocyst, sclerotherapy, lymphangiography, contrast radiography of lymphocyst
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