書誌情報

第58巻 第4号

  • 書誌情報
  • 全文PDF

症例報告
巨大子宮筋腫により妊娠子宮捻転をきたし,後壁の前置胎盤を前壁付着と判断していた一例
池内 満里奈, 大井 由佳, 眞鍋 静恵, 橋本 彩紗, 北島 麻衣子, 小林 奈津子, 瀬川 恵子, 笠井 絢子, 茶木 修, 松永 竜也
横浜労災病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):565-569, 2021

 巨大子宮筋腫による妊娠子宮捻転をきたし,後壁の前置胎盤を前壁付着と判断していた症例を経験した.
 症例は41歳初産婦,妊娠初期より9 cmを最大とする多発子宮筋腫合併妊娠として妊娠管理をしていた.妊娠中期の経腟超音波断層法で全前置胎盤を認めたため,妊娠29週にMRIを撮像したところ子宮左側壁から前壁にかけて胎盤を認め,内子宮口を完全に覆っている前壁全前置胎盤と診断した.超音波断層法,MRI検査で胎盤は母体腹側を完全に覆っているため,体下部横切開,古典的帝王切開いずれも困難と判断した.妊娠30週に警告出血を認め,入院管理とし,妊娠34週に底部横切開の予定で帝王切開術を施行した.術中腹腔内を観察すると子宮は12 cm大の筋腫により横回転で180度反時計回りに回転していた.整復後にエコーにて胎盤は後壁に付着していることが確認されたため,子宮体下部横切開で,児娩出に至った.
 本症例では術中超音波断層法を用いて胎盤位置を確認し,安全に児の娩出に至ることができた.子宮筋腫合併妊娠の症例の場合,子宮筋腫による捻転の可能性を念頭に置く必要がある.子宮が捻転していた場合には切開創の変更等が必要となる可能性があるため,前置胎盤を合併していない場合でも,綿密な準備を要すると考える.

Key words:Uterine torsion, Placenta previa, leiomyoma
他地区の会員で全文PDFをご覧になりたい方は、学会事務局へお問合せください。

一般社団法人
関東連合産科婦人科学会

〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp

一般社団法人関東連合産科婦人科学会

ページの先頭へ

Copyright © 一般社団法人関東連合産科婦人科学会