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第58巻 第4号

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症例報告
出生後に診断された気管無形成の一例
島 みなみ, 藤木 豊, 東 福祥, 施 惠子, 佐々木 怜子, 加藤 敬, 人見 義郎, 中村 佳子, 山田 直樹
水戸済生会総合病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):577-581, 2021

 気管無形成は5万例に1例と極めてまれな先天性の呼吸器疾患である.今回,羊水過多で入院となったが,出生前に診断がつかず,出生後に気管無形成と診断した症例を経験したため報告する.母は41歳2妊0産,IVF-ETにより妊娠した.無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)は陰性であった.妊娠30週でAFI 33 cmと羊水過多を認め,入院管理とした.超音波検査では胎児構造異常を指摘できず,羊水過多の原因は不明であった.妊娠31週に繰り返す遷延一過性徐脈を認め,胎児機能不全の診断により帝王切開分娩とした.出血込みの羊水量は3,000 mLであった.出生体重1,498 g,Apgar Score 3点/3点(1分/5分),臍帯血pH 7.217で出生した.児は啼泣なく気管挿管を試みたが,喉頭鏡による観察で声門まで確認できるものの,チューブが声門を超えて挿入できなかった.出生後31分に気管切開を施行したが,十分な換気はできなかった.その後心拍数が徐々に減少し出生後1時間10分に死亡確認となった.児には肉眼的に明らかな外表奇形を認めなかった.病理解剖では,声門下での閉塞があり,食道・気管支分岐部吻合を認め,気管無形成(Floyd分類2型)と考えられた.気管無形成の出生前診断は非常に困難ではあるが,胎児MRIの有用性を示唆する報告もある.原因不明の羊水過多症例を診た場合,非常に稀ではあるが気管無形成を鑑別に加え精査を考慮する必要がある.

Key words:tracheal agenesis, Floyd's type II, neonatal death, polyhydramnios
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