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第58巻 第4号

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症例報告
卵巣癌,子宮体癌,子宮頸癌の同時性三重複癌の1例
土持 早希, 石野 朝美, 小松 勇史朗, 小村 愛里, 山本 高生, 栗下 岳, 吉田 光代, 袖本 武男, 香川 秀之
関東労災病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):588-596, 2021

 同一個体に2種類以上の悪性腫瘍が発生し病理学的に独立していることが証明されたものを重複癌と呼ぶ.今回,卵巣癌,子宮体癌,子宮頸癌の同時性三重複癌の症例を経験した.39歳,未妊女性.1か月前からの下腹部腫瘤感を主訴に前医を受診し,骨盤内腫瘤を指摘され,当院紹介初診.頸部細胞診とMRI画像所見から左卵巣癌IA期+子宮体癌IA期+子宮頸部上皮内腺癌の術前診断で手術を行い,卵巣未分化癌pT1a,子宮体部類内膜癌pT1a,子宮頸部腺癌pT1aと診断した.過去の卵巣・子宮体部・子宮頸部の三重複癌8症例の検討で術前に重複癌が疑われていたのは3例のみであった.その理由として1)腹腔内の巨大腫瘤や多発子宮筋腫のため画像診断が困難であった 2)複数の病変を認めても一つの癌腫の転移と考えた 3)細胞診が未施行または偽陰性のためI期の子宮頸癌や体癌を認識していなかった,ということが挙げられる.本症例のようにがん家族歴がなく偶発的に発生する重複癌は稀だが,認識しておく必要がある.見落としのない診断を行う上で,画像所見で複数の病変を認める場合には重複癌の可能性も念頭に置くこと,卵巣癌であっても術前に子宮頸部および内膜の細胞診や組織診を行うこと,細胞診が陰性であっても臨床症状や画像所見等から悪性が疑われる場合には切除検体の病理学的検索を依頼することが重要である.

Key words:synchronous malignancies, multiple primary cancers, triple cancers
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