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第58巻 第4号

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症例報告
術前・術中診断に難渋した卵巣原発腺肉腫の一例
百武 沙綾1), 楯 真一1), 錦見 恭子1), 松岡 歩1), 高地 祐輔2), 池田 純一郎2), 生水 真紀夫1)
1)千葉大学医学部附属病院産婦人科
2)千葉大学医学部附属病院病理診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):630-635, 2021

 腺肉腫は中胚葉性混合腫瘍であり,女性性器のいずれの部位にも発生する.多くは子宮が原発で,卵巣原発は少なく,予後不良である.今回われわれは,術前および術中診断に難渋した卵巣原発の腺肉腫の1例を経験したので報告する.65歳の女性で,49歳時に子宮筋腫に対して腟式子宮全摘術を施行した.近医で左卵巣腫瘍を指摘され,MRI検査等の結果から上皮性卵巣癌が疑われたため,開腹術を行った.左卵巣腫瘍の術中迅速組織診断は線維莢膜細胞腫が疑われたが,核分裂像を少数認めたため,左付属器に加えて,右付属器摘出術と大網生検を追加した.術後病理診断は腺肉腫であった.既往の子宮全摘の検体を取り寄せて確認したが,子宮には平滑筋腫を認めるのみで,悪性所見はみられなかった.卵巣原発腺肉腫と診断し,上皮性卵巣癌に準じて術後化学療法(パクリタキセル+カルボプラチン4コースの後に,末梢神経障害のためドセタキセル+カルボプラチン1コース)を施行した.既往の標本を再検鏡することで,子宮原発を否定し,比較的稀な卵巣腺肉腫と診断することで,予後不良因子の一つを明らかにすることができた.

Key words:Adenosarcoma, ovarian cancer
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