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第58巻 第4号

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症例報告
2度の腫瘍減量術によってGrowing Teratoma Syndrome(GTS)と診断した混合型胚細胞腫瘍の1例
大枝 涼平, 小林 梓, 井上 直紀, 西村 俊夫, 小暮 佳代子, 池田 禎智, 平川 隆史, 岩瀬 明
群馬大学医学部附属病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 58(4):636-641, 2021

 Growing Teratoma Syndrome(GTS)とは,未熟奇形腫あるいは混合型胚細胞腫瘍に対する化学療法中あるいは化学療法後に,病巣が増大するも腫瘍マーカーは正常で,病理組織学的には成熟奇形腫成分のみで構成される症候群である.今回我々は,GTSを想起し,外科的切除を繰り返し行ったことで早期の診断・治療に至ることが出来た症例を経験した.症例は20歳,女性.0妊0産.腹部膨満感を主訴に前医を受診し,腹腔鏡下左付属器摘出術を施行された.卵巣未熟奇形腫I期(Gradeの評価なし)と診断され,経過観察された.術後1年ほどで骨盤内腫瘍が出現,血中hCGの上昇あり,当科を紹介受診した.前医の標本を再評価し,混合型胚細胞腫瘍(未熟奇形腫G3+胎芽性癌)の再発と診断した.化学療法を2コース施行し,血中hCGは低下するも腫瘍は増大した.GTSを疑い,Secondary debulking surgery(SDS)を施行したところ,一部に未熟奇形腫G1が残存していた.化学療法を1コース追加し,経過観察した.SDS後5か月で横隔膜下に新規病変が出現したが,血中hCGは陰性であった.再開腹による腫瘍減量術を行ったところ,摘出病変は成熟奇形腫成分のみで構成され,GTSと診断した.不必要な化学療法を避けるためにも,卵巣悪性胚細胞腫瘍の診療においてはGTSの存在を念頭に置くことが重要である.

Key words:Growing teratoma syndrome, GTS, ovary, mixed germ cell tumor
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