近年,免疫チェックポイント阻害剤(Immune checkpoint inhibitor:ICI)が婦人科がんにおいて適応が拡大されているが,悪性黒色腫では以前より治療適応であった.今回,再発転移を来した外陰悪性黒色腫に対してICI治療を行い,免疫関連有害事象(Immune-related adverse event:irAE)を来したものの,奏功を得て長期無増悪生存している症例を経験したので報告する.
症例は76歳,外陰悪性黒色腫に対し広汎外陰切除・左鼠径リンパ節郭清・V-Y flap形成を行い,外陰がんIIIB期と診断した.本人希望により後療法なしで経過観察中,術後3か月で両側鼠径リンパ節転移,両肺多発転移を認め,ICIを開始した.ニボルマブ9コース行い一定効果を得たものの新出病変を認め,イピリムマブ4コースで腫瘍はほぼ消失した.継続治療のニボルマブ再投与で副腎不全が出現し,副腎皮質ホルモン補充を行いICIを休薬した.再発治療後3年経過したが無増悪生存中である.
ICIにおいてはirAEの発生が予後良好の指標となることや,治療早期に一過性に病変の増大や新出のように見えるPseudo progressionという事象が起こり得ること,治療終了後にも治療効果が持続することなど,従来の抗がん剤では認めない特徴があり本症例ではそのいずれも経験した.
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