尖圭コンジローマは外陰部のみならず,腟内,肛門内,尿道内などにも発生する.今回,巨大な腫瘍を形成し悪性腫瘍との鑑別を要した腟内尖圭コンジローマの1例を経験した.症例は23歳,未妊,腟腫瘍と腟炎の精査目的で紹介された.既往にアトピー性皮膚炎,気管支喘息,クラミジア頸管炎があった.2価のヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを受けたとのことであった.腟鏡診では,ピンク色の泡沫状帯下を認め,子宮腟部周囲に径5 cmの息肉腫様の腫瘍を認めた.外陰部にも小結節を数個認めた.悪性腫瘍の可能性も考慮し,細胞診・組織診,腟細菌培養,クラミジア検査,画像検索を行った.子宮腟部細胞診はLSIL,組織診ではcondyloma acuminatum,クラミジア核酸検査で陽性,腫瘍マーカーはSCC 2.1 ng/mLであった.尖圭コンジローマ(外陰,腟),クラミジア頸管炎の診断で,アジスロマイシン単回投与,腟内のコンジローマには液体窒素による凍結療法,外陰部にはイミキモド塗布を行った.尖圭コンジローマ病変は徐々に退縮し,治療は終了した.HPV型別判定で,55型,58型が陽性であった.今回の腟内のコンジローマは,発生部位と大きさから悪性腫瘍との鑑別が必要であり,治療にも時間を要した.尖圭コンジローマの診断と治療の重要性と,HPVワクチンの限界を再認識した.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp