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第59巻 第1号

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症例報告
腹腔鏡下手術後,遅発性に腹痛を呈した下腹壁仮性動脈瘤に対して小切開ドレナージを施行した1例
大岩 一平, 楢山 知明, 矢島 優希, 義澤 航平, 栗山 裕貴, 間邊 貴俊, 楢山 知紗, 呉屋 憲一, 村松 俊成
東海大学医学部付属八王子病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(1):67-72, 2022

 腹腔鏡下手術の合併症として,トロッカー挿入部に下腹壁仮性動脈瘤(inferior epigastric artery pseudoaneurysm)を生じることがある.症例は42歳,高血圧の既往あり.子宮粘膜下筋腫に対してダイヤモンド式トロッカー配置で腹腔鏡下子宮全摘術,両側卵管切除術を施行した.トロッカー抜去時に特記すべき異常はなく,術後3日目に退院となった.術後18日目に下腹部痛で受診となったが,腹腔内に明らかな所見を認めず一旦帰宅となった.しかし,その後も腹痛の持続を認めたため,術後20日目に再度当院へ受診となった.経腹超音波断層法では腹痛部位直下に血腫を疑う低エコー像を認めた.造影CT検査では腹直筋下に仮性動脈瘤と周囲の造影効果を認め,仮性動脈瘤に感染の合併が疑われた.血液生化学検査ではCRP 5.0 mg/dLと上昇を認めた.入院管理の上,抗菌薬投与を開始したが改善を認めず,入院5日目に小切開ドレナージの方針となった.左下腹部のポート刺入部を約3 cm切開し,血腫除去と電気メスによる止血,ドレーンを留置して手術を終了した.明らかな膿瘍形成や排膿は認めなかった.経過良好のため術後6日目に退院となった.下腹壁仮性動脈瘤は退院後,遅発性に症状を呈することがあるため,腹腔鏡下手術後の下腹部痛では本疾患を念頭に置き,診断後は速やかな切開ドレナージが肝要である.

Key words:inferior epigastric artery pseudoaneurysm, incision drainage, gynecologic laparoscopy
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