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第59巻 第1号

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特集 第141回学術集会優秀演題賞演題
妊娠高血圧症候群における帝王切開術後抗凝固療法の血腫形成に関する後方視的検討
田中 元基, 植木 典和, 竹田 純, 畠中 美穂, 秋葉 純也, 正岡 駿, 安東 瞳, 精 きぐな, 山本 祐華, 板倉 敦夫
順天堂大学医学部附属産婦人科講座
関東連合産科婦人科学会誌, 59(1):95-98, 2022

 深部静脈血栓症のリスク因子を有する帝王切開症例では術後の抗凝固療法が推奨されている.当院では血栓症の危険性を重要視し,帝王切開全症例にエノキサパリンを投与しているが,投与後に血腫形成をきたす症例を多数経験した.妊娠高血圧腎症(PE)は血栓症のリスク因子であるが,血腫形成の危険性もあり,妊娠高血圧症候群(HDP)症例における術後抗凝固療法の血腫形成に関連する因子を明らかにすることを目的として後方視的に検討を行った.
 2018年から2020年に当院で帝王切開術を実施した妊婦を対象とし,妊娠関連項目,手術関連項目,HDPの有無,術前後の血液データについて後方視的検討を行った.主要評価項目は血腫形成と関連する因子の同定とした.対象となった937例のうち血腫群は39例(4.2%)であった.血腫形成率は,HDP症例(38.5%,p<0.001)において有意に高かった.HDP症例80例における比較において,非血腫群に比べ,血腫群は術後のクレアチニン値(0.69±0.16 vs 0.59±0.14,p=0.014)が有意に高かった.
 HDP症例における帝王切開術後の血清クレアチニン値は抗凝固療法による血腫形成に関連することが示唆された.

Key words:Hypertension, Pregnancy-Induced, Preeclampsia, Hematoma, Anticoagulants, Cesarean Section
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