妊娠36週以降に経腟分娩を試行した単胎初産婦1,583例の母体身長別帝王切開率について後方視的に検討した.母体身長分布を基に148 cm以下を超低身長群,148~155 cmを低身長群,155~162 cmを標準身長群,162 cm以上を高身長群とすると,各群の帝王切開率は10.0%,13.3%,10.5%,6.2%で,超低身長群,低身長群とも標準身長群に比べ有意な差はなかった(p=0.873,0.162).高身長群との比較では低身長群と標準身長群の帝王切開率が有意に高かった(p<0.001,=0.013).出生時児体重,身長,頭囲は母体身長が低いほど有意に小さく,超低身長群,低身長群の帝王切開率が高くなかった原因の1つと考えられた.
最終的に帝王切開になった160例と経腟分娩1,423例の比較で帝王切開率に影響したのは母体年齢,母体身長,児体重,児頭囲であった(多項ロジスティック回帰分析).
帝王切開には複数要素が関与した.母体低身長は帝王切開の可能性を推測する1要因だが,低身長妊婦が分娩様式に不安を感じない正確な情報提供が必要と思われた.
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