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第59巻 第4号

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症例報告
前置癒着胎盤に対する帝王切開同時子宮摘出術時に大動脈バルーン閉塞を併用した2例
須田 綾子, 小林 千絵, 谷垣 伸治, 大坪 翔, 對馬 可菜, 竹森 聖, 北村 亜也, 松島 実穂, 百村 麻衣, 松本 浩範, 小林 陽一
杏林大学医学部付属病院産科婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):413-418, 2022

 前置癒着胎盤に対する帝王切開術は大量出血をきたす代表的産科手術である.今回我々は,術中出血量軽減目的に大動脈バルーン閉塞(Intra-aortic balloon occlusion:IABO)を併用して帝王切開同時子宮摘出術(cesarean hysterectomy:CH)を2例施行し,有用性について考察したので報告する.当院では手術前日に硬膜外カテーテルを,当日に脊椎麻酔下で尿管ステント及び腎動脈分岐部下方に大動脈バルーンカテーテルを留置し,阻血前にヘパリンを投与している.症例1は妊娠33週6日,児の状態が悪化した前置癒着胎盤例に対し緊急CHを施行した.脊椎麻酔の効果が減弱し,全身麻酔下で児を娩出した.手術時間6時間1分,阻血時間合計67分(38分,29分),出血量4,377 ml,自己血1,200 ml,濃厚赤血球製剤6単位,新鮮凍結血漿6単位を輸血した.症例2は妊娠33週3日,前置癒着胎盤警告出血に対し緊急CHを施行した.母児対面後に全身麻酔へ移行し,手術時間4時間13分,阻血時間9分,出血量2,015 ml,自己血1,180 mlを輸血した.2例ともIABOにより視野を確保し手術操作を行え,合併症を生じることなく退院した.症例2では出血量を制御することができた.IABOはCH時の出血コントロールに有用である可能性がある.

Key words:cesarean hysterectomy, Intra-aortic balloon occlusion, placenta previa, placenta accreta, placenta percreta
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