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第59巻 第4号

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症例報告
広汎子宮全摘術後10日目に仮性動脈瘤から腹腔内大量出血を発症した1例
浅井 隆之1), 佐野 めぐみ1), 村元 勤1), 井吹 ゆき1), 今井 迅2), 森 篤1)
1)長野市民病院婦人科
2)長野市民病院放射線診断科
関東連合産科婦人科学会誌, 59(4):481-485, 2022

 広汎子宮全摘術のリンパ節郭清にともなう仮性動脈瘤はまれであるが,一旦破裂すると重大な結果をもたらす合併症である.今回我々は広汎子宮全摘術後10日目に閉鎖動脈に形成された仮性動脈瘤から腹腔内に大量出血をおこしたが,動脈塞栓術により止血できた1例を経験したので報告する.症例は57歳,子宮頸部腺癌1B1にて広汎子宮全摘をおこなった.術後感染などなく,経過は順調であった.術後10日目に突然の下腹痛を訴え,ショック状態となった.Hb 6.9 g/dlであった.CTでは大量の腹腔内出血を認めた.出血点として左骨盤壁付近からの動脈性出血が強く疑われたが,特定できなかった.左内腸骨動脈の選択的造影で,左閉鎖動脈の内側に仮性動脈瘤と血管外漏出像の出現を認めた.マイクロコイルとヒストアクリル・リピオドールで塞栓し,仮性動脈瘤と血管外漏出の消失を確認した.リンパ節郭清を伴う手術において遅発性の腹腔内大量出血が起きた場合には,鑑別として郭清部位の仮性動脈瘤の破裂を挙げる必要があると考える.また,その治療法として動脈塞栓術が有効である.

Key words:Cervical cancer, Postoperative complication, Radical hysterectomy, Pseudoaneurysm, Intra-abdominal hemorrhage
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