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第60巻 第4号

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原著
精神疾患合併妊婦の育児不良に関するリスク因子の検討
土田 千尋, 馬場 聡, 榎本 悠希, 染谷 拓郎, 根本 一成, 坂口 菜香, 竹田津 史野, 本城 晴紀, 神尊 貴裕, 足立 克之, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):399-404, 2023

 精神疾患合併妊娠は近年増加傾向にある.原疾患が安定し妊娠・分娩経過が良好であっても,その後育児不良となる症例があることも知られており,このような妊婦に対しては,行政・小児科とともに分娩後の児の長期予後のフォローアップをすることも必要である.そのため,妊娠早期に抽出可能な分娩後の育児不良のリスク因子を検討することは重要である.今回,当院で経験した精神疾患合併妊婦の経過を分析し,分娩後の育児不良予測因子を検討した.
 2015~2019年の5年間に当院で分娩した精神疾患合併妊娠60例を対象とし,妊娠・分娩・産褥,さらにはその後の育児状況につき後方視的に診療録を調査した.分娩後の育児不良を認めた症例は5例であり,予備調査としてこれら育児不良群と良好群55例を比較検討したところ,育児不良群では有意に妊娠中に向精神薬を常用していた(p=0.002).この結果に基づき,全60例を妊娠中の向精神薬常用の有無で2群に分け,患者背景,妊娠経過,分娩経過,児の短期予後,長期予後を調査し比較検討を行った.結果は,患者背景・妊娠経過・分娩経過・児の短期予後では2群間に有意差を認めなかった.しかし児の長期予後を追跡したところ,向精神薬常用群で有意に育児不良を認めた(p=0.0017).
 これらの結果より,妊娠中の向精神薬の常用は,育児不良の簡便なリスク因子となる可能性があることが示唆された.

Key words:Patients of psychiatric disorders, Pregnancy, Delivery prognosis, Newborn prognosis, Poor childcare
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