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第60巻 第4号

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原著
成熟奇形腫の診断で腹腔鏡手術を施行した症例について術前SCC抗原値が悪性転化を伴う成熟奇形腫を推定しうるか後方視的検討
秋澤 叔香, 熊切 順, 柏崎 咲絵, 千ヶ﨑 一代, 山岡 結香, 村田 周子, 堀部 悠, 菅野 俊幸, 本橋 卓, 田畑 務
東京女子医科大学産婦人科学
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):441-446, 2023

 【背景】成熟奇形腫は稀に術後,成熟奇形腫の悪性転化等,悪性腫瘍と診断されることがある.術前は骨盤MRIの画像診断の他,しばしば血清SCC抗原値が測定されるが 初期の扁平上皮癌で陽性率が低いこと,アトピー性皮膚炎等においても高値となることが問題となる.【目的】成熟奇形腫の診断で腹腔鏡手術を行った症例において術前の血清SCC値が悪性転化を伴う成熟奇形腫を推定しうるか検討した.【方法】2016年4月から2022年3月に当院で成熟奇形腫の診断で腹腔鏡手術を施行した症例の術前の血清SCC値と症例背景を検討した.また成熟奇形腫の悪性転化と診断された症例と比較検討した.【成績】術後,成熟奇形腫と診断された症例は120例で平均年齢は35.6±11.9歳,SCC値は1.4±0.78(0.3~5.0)ng/mL,平均腫瘍径は78.2±60.8 mm,SCC値が基準値1.5 ng/mlを超える症例は35/120例あった.成熟奇形腫の悪性転化と術後診断された症例は2例あった.【結語】成熟奇形腫の術前にSCC値を測定したところ約3割の症例で基準値を超えることがわかり,生殖年齢における手術術式には特に十分な検討が必要と考えられた.また稀に術後,悪性腫瘍と診断されることを念頭に診療にあたる必要がある.

Key words:mature teratoma, ovarian function preservation, malignant transformation, squamous cell carcinoma
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