脳静脈洞血栓症（CVT）は脳静脈洞の血栓性閉塞により脳浮腫や脳梗塞を生じる．子宮頸癌術後同時化学放射線療法（CCRT）中にCVTを発症したが，DOAC（Direct oral anticoagulant）投与により再発治療中のCVT再発を予防できたので報告する．57歳，前医で子宮頸癌IB1期に対し広汎子宮全摘術を施行，腺扁平上皮癌，pT2bN1M0 Stage IIIC1pと診断され，当院でCCRTを施行した．CCRT開始後18日激しい頭痛が出現，頭部造影MRIで右横静脈洞～S状静脈洞の広汎な急性期血栓を認め，CVTと診断した．ヘパリンナトリウムによる抗凝固療法を開始し，血栓は縮小した．抗凝固薬をワルファリンカリウムに変更し退院した．治療後11か月　前回照射野内を含む多発傍大動脈リンパ節転移を認めた．薬剤コンプライアンスを考慮しワルファリンカリウムからDOACであるエドキサバンに変更の上，パクリタキセル・カルボプラチン療法を施行，完全奏効した．再発治療後7か月照射野外の傍大動脈および縦隔リンパ節転移で再々発，エドキサバン内服下でCCRTを施行し，完全奏効した．再発治療中にCVTは再発しなかった．DOACのCVT再発予防効果のエビデンスは限定的だが，凝固亢進が惹起されやすい癌患者では，長期投与の可能性や薬剤コンプライアンスから，DOACがCVT再発予防に有効である可能性が示唆された．