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第60巻 第4号

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症例報告
腹腔鏡下子宮体癌根治術後1年で腟壁再発を認めた1例
青木 宏, 黒住 未央, 東 杏莉, 大枝 涼平, 峰村 成, 伊藤 郁朗
高崎総合医療センター産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):559-565, 2023

 当院では2018年9月より腹腔鏡下子宮体癌根治術を導入施行しているが,術後1年目に腟壁再発した症例を認めた.腟壁再発は頻度の高い再発だが,子宮マニピュレーターの使用や今回我々が施行した手術手技との関連性につき文献的考察をしたので報告する.
 症例は56歳で,妊娠歴のない閉経後女性である.術前検査で子宮体癌1A期相当と診断し,腹腔鏡下子宮体癌根治術を施行した.術後病理検査で子宮体癌1A期と診断し,術後追加治療は施行せず経過観察とした.術後1年目に腟壁再発を認めたが,腔内照射で病変は消失し,8か月経過したが再発は認めていない.手術では両側卵管をクリッピングしてから子宮マニピュレーターを挿入した.子宮は回収袋に入れ腟より体外へ回収し,腟断端縫合時に腟壁切開時に使用した腟パイプを再挿入していた.文献的には子宮マニピュレーターが再発や腫瘍学的予後に影響したとするデータは乏しく,産婦人科内視鏡手術ガイドライン1)でも使用に際しての注意事項の記載はあるものの使用を認めている.ただ文献的に子宮マニピュレーターにより子宮摘出前後に腫瘍細胞が腟内に飛散し,腟壁にインプラントした可能性が考えられた.その予防策を検討することは重要で,飛散防止のために子宮マニピュレーターの不使用と子宮口の閉鎖,子宮摘出前後での腟内洗浄と腟切開時に使用した腟パイプを含めた器具の十分な洗浄が今後実践できる手技と考えられた.

Key words:vaginal recurrence, laparoscopic surgery, uterine endometrial cancer, uterine manipulator
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