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第60巻 第4号

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症例報告
ダグラス窩に嵌頓した妊娠中の卵巣腫瘍に対して,スネークリトラクターを用いて腹腔鏡下卵巣囊胞摘出術を施行した1例
堀 祥子, 中山 健, 武本 周平, 西村 紀子, 馬場 彩穂里, 大村 昂平, 藤井 良将, 横野 佑太朗, 中尾 紗由美, 川上 敬子, 小林 友紀, 池本 舞, 水谷 あかね, 宮村 知弥, 田内 麻依子, 丸山 大介, 佐々木 康, 森岡 幹
昭和大学藤が丘病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):567-572, 2023

 妊娠中に発見される卵巣腫瘍は,捻転・破裂リスクや分娩時障害の可能性を考慮し手術が検討される.近年,腹腔鏡下手術の報告は増えているが,妊娠子宮や卵巣腫瘍の位置により術野確保に難渋することが多い.Diamond-Flex Retractorsはスネークリトラクターの愛称で知られ,腹腔鏡下手術時の術野確保に用いられる.今回,妊娠16週でダグラス窩に嵌頓している卵巣腫瘍に対して,スネークリトラクターを用いて腹腔鏡下卵巣囊胞摘出術を施行した1例を経験したので報告する.
 症例は30歳,3妊1産.以前より5 cm大の卵巣腫瘍が指摘されていたが放置していた.妊娠が判明し前医受診したところ,卵巣腫瘍を認めたため,妊娠8週で当院紹介受診した.経腟超音波検査と骨盤単純MRI検査で右卵巣に10 cm大の多房性囊胞を認め,粘液性囊胞腺腫が疑われた.妊娠16週6日,腹腔鏡下右卵巣囊胞摘出術を施行した.卵巣腫瘍はダグラス窩に嵌頓しており,視認できなかった.有窓鉗子で子宮は挙上できず,スネークリトラクターへ変更したところ,卵巣腫瘍を視認することができた.内容液を吸引し,右下腹部創部より体外法で囊胞摘出した.術後経過は順調で,術後7日目で退院した.退院後の妊娠経過は順調で,妊娠39週で正常経腟分娩となった.妊娠中の腹腔鏡下卵巣囊胞摘出術において,術野を確保するためにスネークリトラクターを使用することは有用である.

Key words:pregnancy, laparoscopes, cystectomy
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