長期留置された腟内異物により膀胱腟瘻に至り,治療に難渋した若年症例を経験したため報告を行う.症例は20歳,0妊0産.15歳時にいじめにより強制的に腟内へ異物を挿入されるも,自己抜去が困難かつ精神的苦痛のため約5年間放置していた.今回,腟からの尿失禁を認めたため前医を受診し,腟内異物による膀胱腟瘻が疑われ,精査加療目的に当院紹介受診となった.初診時の腟鏡診で石灰化を伴う腟内異物と腟前壁からの尿失禁を認め,画像検査により非金属性の腟内異物,膀胱および腟内結石および膀胱三角部中央に膀胱腟瘻を確認した.泌尿器科と協議し,腟内および膀胱内異物の摘出を先行し,炎症改善後に2期的に腟式膀胱腟瘻閉鎖術を施行した.術後は膀胱留置カテーテルで管理していたが,膀胱腟瘻の再発を認めたため腟式膀胱腟瘻閉鎖術を再度施行し,再手術後6か月が経過した現在,再発なく経過している.今後再発した際には腹式膀胱腟瘻閉鎖術および膀胱尿管新吻合術を検討する方針である.膀胱腟瘻は,治療に難渋し膀胱尿管新吻合術など高侵襲な術式が必要となることが少なくないものの,腟式瘻孔閉鎖術のみで治癒に至る症例も存在する.治療選択に際しては,関連各科と密に連携を取り十分な検討をしたうえで,患者の背景や希望に基づき適切な治療を提供することが肝要と思われる.
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