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第60巻 第4号

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症例報告
真性包茎が原因と考えられた体外受精時の精液汚染
佐野 めぐみ, 村元 勤, 上條 恭佑, 森 篤, 小林 弥生子
長野市民病院婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):625-629, 2023

 体外受精の胚培養時には培養液中に細菌が混入することがあり,真性包茎が原因で採精時に細菌混入したと考えられた症例を経験した.患者は37歳男性と38歳女性の続発性不妊症の夫婦である.女性は1妊1産,29歳で自然妊娠し出産している.前医で人工授精を6回後妊娠に至らず,精子無力症を認めたため体外受精の方針とした.Antagonist法で成熟卵17個を採取し,体外受精12個,顕微授精5個で各々10個と4個が受精し,WOWディッシュで共培養した.D5で胚盤胞4個,D6で1個凍結した.D6で培養液中に細菌を認めEnterococcus faecalisを単離した.精子処理溶液中に同一細菌を認め精液からの混入と考えた.随時尿で同一の細菌を認めたがカテーテル尿では認めなかった.また泌尿器科で膀胱鏡を行った際に真性包茎を認めた.真性包茎が細菌汚染の原因と考え,包皮内洗浄後に採精する方針とし,再度同様に刺激し成熟卵19個を得た.包皮内をシャワーで洗浄後に採精し,2層法で処理後に2回洗浄した.顕微授精で18個が受精し,個別培養で胚盤胞5個を得た.精液及び培養液中に細菌はなかった.真性包茎の場合は採精前の包皮内洗浄や入念な精液処理が有用な可能性がある.また細菌感染防止の観点からは精液からの感染リスクが高い場合,共培養ではなく個別培養を考慮すべきである.

Key words:Fertilization, Phimosis, contamination, semen, Coculture
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