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第60巻 第4号

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症例報告
手術を回避し得た単胎妊娠に発症した黄体化過剰反応の1例
深田 直希, 中島 啓輔, 中山 敬登, 都倉 裕り, 大和田 壮, 大木 麻喜, 小笠原 英理子, 奥田 靖彦, 吉野 修, 大森 真紀子, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学医学部産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):631-637, 2023

 黄体化過剰反応(hyperreactio luteinalis,HL)は,多くは多胎や絨毛性疾患など,高値hCG刺激により妊娠中期以降に多房性に卵巣腫大をきたす.
 症例は35歳,3妊1産(35週の自然早産),円錐切除術の既往があった.妊娠9週に卵巣腫大は認めなかったが,妊娠16週に右卵巣8.5×4.5 cm,左卵巣4.6×3.9 cmの多房性囊胞を認め,血中hCG値は147,315 mlU/mlと高値であった.MRIで悪性腫瘍は否定的であり,スポークホイールパターンを認めたためHLと診断し,経過観察とした.妊娠23週には卵巣は縮小傾向となるも-1.8SDのFGRを認めた.妊娠32週4日,陣痛発来したため,子宮収縮抑制薬およびコルチコステロイドを開始したが,妊娠33週0日に経腟分娩となった.児は女児,1,416 g,Apgar score 9/10,UApH:7.35であった.分娩後より血圧160/100 mmHgと上昇し,FGRも認めていたことからPEと診断した.産褥4日目には血中hCG値は低下し,両側卵巣は正常大であった.
 HLは,悪性腫瘍を疑われ不要な外科的手術を施行されうる.本症では,妊娠16週に画像診断および血中hCG値からHLと診断し手術療法を回避出来た.妊娠期に増大する卵巣腫瘍ではHLも鑑別においた精査を行い,HL診断後もFGRやPEも念頭においた管理が必要である.

Key words:hyperreactio luteinalis, ovarian enlargement, high hCG, fetal growth restriction, preeclampsia
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