未分化子宮肉腫は間葉系由来の悪性度の高い腫瘍で予後不良である.また悪性腫瘍に伴う高Ca血症は頻度の高い腫瘍随伴症候群の1つで,中枢神経障害や腎機能障害が急速に進行することがある.その分類には副甲状腺ホルモン関連蛋白(parathyroid hormone-related protein:PTHrP)等の破骨細胞活性化因子による腫瘍随伴性体液性高Ca血症(humoral hypercalcemia of malignancy:HHM)や骨転移によるものがあるが,婦人科悪性腫瘍でのHHMの報告例は少なく未分化子宮肉腫での報告例は検索しえなかった.今回,我々はPTHrPにより高Ca血症を呈した未分化子宮肉腫の1例を経験した.
症例は58歳,2妊2産,不正出血と腹痛を主訴に初診となり,子宮体部悪性腫瘍が疑われ入院したが,急速な全身状態の悪化と腫瘍の増大を認めた.同時に制御困難な高Ca血症を認めHHMが疑われた.腫瘍減量術を施行し病理診断は未分化子宮肉腫,臨床進行期III C期,cT3aN1M0と診断した.術後,全身状態は一時的に改善したが残存腫瘍の増大に伴い,腎後性腎不全を合併し第27病日に急性腎不全で死亡した.
婦人科悪性腫瘍ではHHMの合併は稀であるが,症状が急速に進行することがあるため高Ca血症の際には本病態の認識が重要である.
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