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第60巻 第4号

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症例報告
妊娠を契機に遺伝学的検査を行ったジストロフィン異常症の症例
中田 恵美里1)~3), 井上 万里子4), 澤井 摂3)5), 宇津野 恵美3), 甲賀 かをり1), 市川 智彦3)
1)千葉大学大学院医学研究院生殖医学
2)千葉大学医学部附属病院周産期母性科
3)千葉大学医学部附属病院遺伝子診療部
4)千葉市立海浜病院産婦人科
5)千葉大学大学院医学研究院脳神経内科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):663-667, 2023

 【背景】単一遺伝子疾患の出生前診断には,原因となるバリアントの同定が不可欠である.今回,妊娠前にバリアントが同定されていなかったジストロフィン異常妊婦に対し遺伝学的検査を行い病的バリアントを検出し,出生前検査に反映させた症例について報告する.【症例】家族歴無し.11歳,高CK血症を指摘され,筋生検・免疫組織学的検査の結果,ジストロフィン異常症と診断された.34歳,神経内科で軽度の筋力低下と心機能低下を指摘,MLPA法によるジストロフィン遺伝子検索を施行したが,病的バリアントは同定されなかった.35歳,妊娠し,遺伝カウンセリング目的に妊娠12週3日遺伝外来を受診した.出生前検査の希望に対し遺伝カウンセリングを行い,変異同定目的に全エクソンシークエンス解析による遺伝学的検査を施行した.ジストロフィン遺伝子にc. 721C>T, p. Gln241*のナンセンス変異を検出し,病的バリアントと判断した.引き続き妊娠16週0日,出生前検査を施行した.羊水染色体FISH法で胎児は女児であり,保因者診断は行わずに検査を終了した.【結語】出生前診断には時間的制約があるため,神経内科,遺伝科,産科,小児科,検査会社が密に連携しながら必要な検査を行う工夫とともに,十分な遺伝カウンセリングを行うことが望ましい.

Key words:Duchenne muscular dystrophy, prenatal genetic counseling
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